花見川団地の100円商店街とは?10年以上続く理由と楽しみ方

千葉市花見川区にある「花見川団地」は、昭和40年代に誕生した、長い歴史を持つ大規模な団地です。

その中心にある「花見川団地商店街」は、食料品や日用品のお買い物から、地域の人々の交流まで、日々の暮らしを支えてきた場所。昔ながらのお店が並び、店主とお客さんの何気ない会話が生まれる、どこか懐かしく温かな雰囲気が魅力です。

そんな花見川団地で行われる人気イベントの一つが「100円商店街」です。商店街のお店や出店者が100円の商品やサービスを用意し、気軽に買い物や体験を楽しめるイベントです。入場は無料で、子ども連れでも大人同士でも半日ほど楽しめます。2026年11月には29回を迎える、10年以上続く地域の名物行事になりました。

この記事では、商店街振興組合の理事長であり、有限会社中屋フルーツ代表取締役社長の大澤幸治さんへの取材をもとに、始まったきっかけと続けるための工夫を紹介します。

中心として活躍している大澤さん

当日の楽しみ方や行き方もまとめました。週末の家族のお出かけ先を探している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

花見川団地の100円商店街とはどんなイベント?

100円商店街は、商店街の各店舗が100円を中心とした商品やサービスを提供するイベントです。日常的に商店街を使わない人にも、お店と商品の魅力を知ってもらうことを目的にしています。

過去の様子
過去の様子

100円をきっかけに、お店の中まで入ってもらう

ねらいは「安売り」そのものではありません。100円の品をきっかけに店先に立ち寄り、お店の雰囲気や品ぞろえを知ってもらうことです。

たとえば2025年11月の回では、果物店が季節の果物を、パン店がきなこパンを並べました。精肉店のコロッケやドーナツ、古着や古本など、店ごとの個性が100円に表れます。

スタンプを集めてビンゴ大会へ

買い物をするとチラシにスタンプがたまり、イベントの最後に開かれるビンゴ大会に参加できるようになりました。景品はもちろん商店街のお店が用意したもので、シャインマスカットやメロンなども並びました。

番号が読み上げられるたびに、円形広場には大人と子どもの歓声が響いていました。お店を回る楽しさと、最後に全員で盛り上がる時間の両方を楽しんでいました。

なぜ花見川団地で100円商店街が始まったの?

きっかけは「イベントに人は来るのに、お店には立ち寄ってもらえない」という悩みでした。そこで専門家や近隣での事例を参考に、来場者をお店へ呼び込む仕組みとして100円商店街を開催することにしました。

「人は来るのに、お店に寄らない」という課題

花見川団地商店街では、以前からさまざまなイベントを開いていました。ただ、会場がにぎわっても、来場者がお店に入るとは限りません。

大澤さんは家業の中屋フルーツを営みながら、商店街の活性化に長く関わってきました。イベントのにぎわいを、お店の利用につなげることが課題でした。

山形県新庄市と船橋市・芝山団地の先例にならう

そんなとき、行政のアドバイザーから紹介されたのが、山形県新庄市で生まれた100円商店街の手法でした。店先に100円の品を並べ、店内へ足を運んでもらう仕組みです。

さらに、船橋市の芝山団地で先に開かれていた事例も参考にしました。団地の商店街という似た環境での成功例が、開催を決める後押しになりました。

雨の第1回で感じた手ごたえ

第1回はあいにくの雨でした。それでも多くの来場者が集まり、商店街はにぎわいました。

各店舗が工夫した商品を用意したことで、来場者が次々とお店に入っていきました。大澤さんはこのとき「お店へ人を呼び込める」と実感したそうです。

28回続けるために、どんな工夫を重ねてきたの?

続けるための工夫は、大きく4つあります。お店ごとの企画づくり、子ども向け企画、運営の省力化、そして地域の協力者を増やすことです。

一軒ずつ回り、お店に合った「100円」を提案

最初の課題は、参加してくれるお店を増やすことでした。大澤さんは自ら各店舗を回り、お店に合った100円企画を一緒に考えました。

理容店の「100円カット券」や、呉服店の「100円試着」もそのひとつです。物を売るお店だけでなく、サービスのお店も参加できる形を工夫しました。

「子どもまつり」と大学生の参加で多世代のイベントに

始めた当初は、子ども向けの商品が少ないことも課題でした。そこで第3回から、輪投げや射的で遊べる「子どもまつり」を始めました。

地元の大学生にも協力を依頼し、チアダンスや演奏の披露も加わりました。親子連れからシニアまで、幅広い世代が楽しめるイベントに育っています。

少人数でも続けられる、スタンプラリーとビンゴ

多い年には年4回開催していました。ただ、企画と運営は大澤さんを含む少人数です。回数を重ねるほど、続けることの難しさに直面しました。

そこで取り入れたのが、店舗でのスタンプラリーとビンゴ大会です。運営の負担を抑えつつ、買い物も自然に促せます。商店街ならではの景品が当たる企画として定着しました。

コロナ禍の中断を越え、地域ぐるみの開催へ

新型コロナウイルスの影響で、約2年間は開催できませんでした。それでも2023年に再開し、現在では自治会、無印良品、千葉市、UR都市機構など、多くの地域関係者と協力しながら開催し続けています。

100円商店街に行くと、どんな楽しみがある?

子ども連れなら、ゲームと買い物を一緒に楽しめるのが魅力です。大人なら、商店街の店主と話しながらお気に入りの一軒を探す楽しみもあります。

2026年3月開催のチラシ
2026年3月開催のチラシ

子ども連れなら「100円玉を握って、お店めぐり」

100円は、子どもが自分で払いやすい金額です。小学生なら、100円玉を何枚か渡して「好きなものを選んでいいよ」と任せるのもおすすめです。

スタンプが増えるたびに、ビンゴへの期待もふくらみます。回によっては輪投げなどのゲームや、学生によるワークショップも用意されます。

50代以上の方は「行きつけの店」探しに

100円の品は、そのお店の実力を知る「お試し」にもぴったりです。果物の甘さやコロッケの揚げ具合を味わえば、また来たい店が見つかります。

店主と言葉を交わしやすいのも、商店街のイベントならではです。旬の食べ方やおすすめの品を、気軽に聞いてみてください。

当日をもっと楽しむコツ

  • 100円玉を多めに用意しておくと、会計がスムーズです
  • 人気の品は売り切れることがあるため、午前中の来場がおすすめです
  • ビンゴ大会は最後に開かれるため、締めくくりまで残る計画にしましょう
  • エコバッグがあると、果物やパンを持ち帰りやすくなります

滞在時間は、お店めぐりとビンゴ大会を合わせて2〜3時間が目安です。

100円商店街は、地域にどんな変化をもたらしている?

イベントをきっかけに、来場者がその後もお店を使うようになっています。商店街の活性化に関心を持つ人たちとの、新しいつながりも生まれています。

イベントの日が終わっても続く「お店との縁」

100円商店街で初めてお店に入った人が、あとで常連になることもあります。一度入ったお店なら、次に訪れるときも入りやすいものです。

少ない経費で続けやすい

歳末福引セールなどほかのイベントと比べ、比較的少ない経費で開ける点も強みです。無理なく続けられることが、10年以上の継続を支えてきました。

行政・企業・学生とつながる場に

行政や企業、地域団体、個人など、多様な仲間との出会いも生まれました。2022年には千葉市、良品計画、MUJI HOUSE、UR都市機構の4者が連携協定を結んでいます。商店街の活性化は、その柱のひとつです。

商店街を支える人たちのおすすめは?

100円商店街を企画・運営する人と、それを支える人たちに、おすすめの楽しみ方を聞きました。

※コメントは取材内容をもとに編集部で構成しています。

花見川団地商店街振興組合 理事長 大澤幸治さんが語る、100円商店街の原点

「イベントに来た人が、お店に入らずに帰ってしまう。それがずっと悩みでした。100円なら、気軽にのれんをくぐってもらえます。一度入ってもらえれば、店主と話して、お店の良さが伝わるんです。

100円をきっかけに、いつもの買い物先のひとつに加えてもらえたらうれしいですね」

UR都市機構 千葉エリア経営部 深沢さんのおすすめポイント

「100円商店街の日は、団地の外から来る方もたくさんいます。ぜひお友達と一緒にイベントに参加して、団地の様子を体験して日常的にも活用するきっかけにしてもらえると思います。」

UR都市機構 千葉エリア経営部 スタッフのおすすめポイント

「団地の屋外空間をうまく使っていただけるイベントで、特に円形広場でのビンゴ大会やステージイベントには沢山の人が集まり、賑わうところが印象的で、子供たちが沢山集まるのも魅力的です。

また午前中だけでなく、午後も沢山集まるイベントは中々ないと思います。」

これからの100円商店街に必要なことは?

いま必要なのは、運営を担う新しい仲間です。将来はボランティア組織へ、企画と運営の役割を引き継いでいくことを目指しています。

少人数での運営から、みんなでつくるイベントへ

現在は、大澤さんと商店街組合の事務員を中心とした少人数で運営しています。イベント会社に任せるのではなく、地域のボランティアが担う形を目指しています。

続けることが、人と仲間を育てる

開催を重ねることで、手伝いたい人や新しい担い手と出会えます。大澤さんは、続けることそのものが持続可能な運営体制につながると考えています。お客さんとして楽しむことも、関わり方のひとつです。

花見川団地商店街への行き方と、あわせて楽しめる場所は?

会場の花見川団地商店街へは、京成線八千代台駅からバスで約10分です。当日はバスでの来場がおすすめです。

項目内容
会場花見川団地商店街(千葉市花見川区花見川2-3)
開催時期近年は春と秋の年2回(次回は2026年11月14日に開催)
開催時間10:00〜17:00 ※回により異なる
入場料無料
京成線から八千代台駅から京成バス「花見川団地」方面行きで約10分、「花見川交番」下車すぐ
JR線から新検見川駅北口から京成バス「八千代台駅」「柏井高校」方面行きで約25分、「花見川交番」下車すぐ
問い合わせ花見川団地商店街振興組合(043-258-1194)
http://www.hanamigawa.net/index.html

この記事を書いた人

米田直弘のアバター 米田直弘 うみさとマガジン担当ライター

株式会社みなものプロジェクトマネージャーとして、千葉うみさとラインの協議会メンバーとして参画。

主に『うみさと通信』のディレクションや、『うみさとマガジン』のサイト制作・運営・記事制作を担当する。

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